2014年のF3マカオGP。F1を目指す世界中の若手が集まるこの激戦のレースで、キラリと光る存在感を示した日本人ドライバーがいた。金丸悠、現在21歳。日本の四輪界ではあまりその名を知られていなかったドライバーだが、F1ドライバーを目指し13歳で単身渡欧。2011年、17歳の時にカートの世界選手権で日本人初優勝を成し遂げた金丸は、今もなおヨーロッパに拠点を置きながら、F1への階段を一歩ずつのぼり続けている。

 このコラムでは、そんな金丸が単身ヨーロッパで戦うドライバーとしての苦労やこぼれ話などを、自分自身の言葉でお届け。第4回は、自身が「待ちに待った」という“とあるテスト”の模様とともに、急きょ決定した緊急報告も交えてお伝えします。

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 みなさま、今年の夏はいかがお過ごしでしたでしょうか? 夏の終わりが肌で感じられるような時期になり過ごしやすくなったかと思います。僕も8月上旬に帰国し、3週間ほど日本で過ごし、リフレッシュすることができました。そんな僕の夏休みの過ごし方をお伝えします。今回は、帰国前に行ったとある初体験のお話からです。

●待ちに待ったフォーミュラ・ルノー3.5テスト
 7月の1週目にあったレッドブルリンク戦からユーロフォーミュラ・オープン(EFオープン)も夏休みに入り、レースのない日々を過ごしていたのですが、7月の終わりに待ちに待ったフォーミュラ・ルノー3.5(Fルノー3.5)のテストをすることができました。以前にもお話しましたが、僕が所属しているエミリオ・デ・ビロタ・モータースポーツのチームオーナーであるエミリオが、フォーミュラ・ルノー3.5のチームであるポンズ・レーシングのマネージャーも務めており、そのご縁もあって今回の機会を頂きました。ポンズは2輪の最高峰であるMotoGPのMoto2クラスと、4輪ではFルノー3.5に参戦しています。

 まずはテストを行う3日前にポンズのワークショップへ打ち合わせに行ってきました。場所はバルセロナの市街地から(そして僕の家からも)15〜20分のところにあります。工業地帯の中にあるので工場や倉庫以外は何もないようなところなのですが、いつもF3で僕のエンジニアをしてくれているセルジに迎えに来てもらい連れていってもらいました。家からも近く、知っている人間と一緒だったのでさほど緊張せず行くことができました。ちなみにこちらも前にお話しましたが、セルジはFルノー3.5ではロベルト・メリの担当をしています。

 ワークショップでは打ち合わせのほかに、シート作りやシミュレーターでの練習をしました。シミュレーターではFルノー3.5の次のレースがあるシルバーストンのコース設定で練習したのですが、レイアウトやコース幅、路面のつぎはぎ、高低差、そしてマシンのフィーリングなどもかなり忠実に再現されていました。3〜4時間ほどシミュレーター練習をしたのですが、部屋の中にクーラーが付いていなかったので、本当に乗った時と同じくらい汗をかいちゃいました(笑)。

 今回のシミュレーターのデータは僕の練習用だけではなく、ポンズのドライバー用としても活用されるというので、できるだけベストタイムを出そうと頑張りましたが、本物とは違う難しさがあり、タイムをまとめるのに苦労しました。シミュレーター上ではどれだけリアルに近づけていても、スピード感やタイヤのグリップ感などが感じ取りにくく、現実の自分の感覚との誤差みたいなものを修正するのに少々時間がかかりました。

●パワステがなく、辛いとおどかされていたけれど……
 そしてその3日後、バレンシアで実車走行を行ないました。初めて乗り込むクルマだった割には、走り出しからフィーリングは悪くなく、想像以上にコントロールしやすいなと思いました。僕のドライビングスタイルは高速コーナーと、ヘビーブレーキングが長所で、その部分がこのマシンを操るうえでのキーポイントだと言われていたのですが、エンジニアの読み通り、僕の長所とマシンの特性をフィットさせることができました。

 Fルノー3.5はパワステがついておらず、乗る前にいろいろな人から「かなりキツいぞ」、「ステアリングは重いぞ」、「首はすぐ疲れるぞ」などと冗談混じりにおどかされていたのですが、思ったよりもバテることなく周回を重ねることができました。2日間でトータル120周、500キロ以上を走ることができました。ですが、さすがに最後は首が悲鳴をあげてしまいましたね。走行後3日間くらい首の筋肉痛が取れなかったです(苦笑)。

 今回のテストでは1台のみ、僕しか走らなかったので、はじめのうちは路面コンディションが悪く、タイムを上げるのに時間が少しかかりました。最終的に出したタイムも悪くはなく、ニュータイヤの使い方はまだもう少し詰められる部分はあったとは思うのですが、エミリオやセルジからも想像以上の結果だったと評価してもらいました。チームオーナーのポンズ氏からも気に入っていただけたようです。

●緊急報告! フォーミュラ・ルノー3.5に参戦します
 Fルノー3.5のテストを終えた後、日本に帰国しリフレッシュしていた僕のもとに、夏休みの終わりを告げるかのような良いニュースが舞い込んできました。テスト結果が思いのほかよく、エミリオがそのことをポンズ氏に報告したところ、ちょうどシートが空いているということもあり、シリーズの残り3戦すべてに出場させて頂けることになりました。テストの時はこのような話は全く出ていなかったので、このお話を頂いた時は驚きました。

 この参戦を可能にしてくれた僕のチームオーナーのエミリオ、ポンズ氏、スポンサー、そして家族には非常に感謝しています。スポット参戦という、他のドライバーに比べ経験が少ない状況を逆手に取り、想像以上の結果が残すことで、11月のマカオGPでよいシートが獲得できると思いますし、来季にもいい方向に繋がるかと思います。

 今週末からEFオープン(スパ)を皮切りに、これからの2か月間で、EFオープンとFルノー3.5の2カテゴリー合わせて6レースを戦います。このスパンでフォーミュラに乗るという機会はなかなかないですし、自身のスキルアップがより出来ると思うとワクワクしています。怒涛のスケジュールが待っていますが、引き続き応援よろしくお願いします。

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